大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和25(れ)120 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人竹中半一郎の上告趣意第一点について。

しかし、他人と共謀して強盗をした犯罪事実の判示には、共謀の具体的内容を判

示する必要はなく、また、原判決の判示事実中被告人Aとあるのは、被告人Bの誤

記であること記録上明白であつて、原判決には被告人が如何なる行為をしたか明瞭

に判示されているから原判決には所論のような理由不備は認められない。

同第二点について。

しかし、原判決事実摘示の被害者Cとあるのは、Dの誤記であること記録上明白

であるから、同人の第一審公判廷における供述記載を証拠としたのは当然であつて、

原判決には、所論のような採証法則の違背はない。

同第三点について。

所論は原判決が採用しなかつた証拠を挙げて原判決挙示の証拠の証明力がないこ

とを主張するのであつて結局事実誤認の主張に帰し刑訴応急措置法一三条二項によ

り上告適法の理由にならない。

同第四点について。

証人Dの第一審公判廷における供述記載中に所論のような供述があるけれどもそ

の全体として同人が被告人及び第一審相被告人Eの脅迫によつて反抗を抑圧せられ

たことをうかがうに足りるし、且つ、原判決挙示の証拠によれば判示事実認定を肯

認することできるから、原審が所論被害者を再び証人として訊問申請したのを却下

して取り調べなかつたからといつて、原審が審理を尽さなかつたものとすることは

できない。

同第五点について。

- 1 -

原審公判調書中には所論のような被告人の供述記載があるけれども右は未だ心神

喪失又は心神耗弱の主張をしたものではなく、弁護人の補充訊問に際して情状とし

て供述したものと見られるから、これを以つて旧刑訴三六〇条二項の主張があつた

ものとすることはできない。それ故原判決には所論の判断遺脱は認められない。

よつて本件上告は理由がないので刑訴施行法二条旧刑訴四四六条に従い裁判官全

員一致の意見で主文のとおり判決する。

検察官 安平政吉関与

昭和二七年一二月一一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官沢田竹治郎は退官のため署名押印できない。

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!